少子高齢化が進む日本では、製造業や運送業など、さまざまな業界で人手不足による影響が深刻化しています。人手不足による業務効率や生産性の低下といった問題の解決には、作業改善に取り組むことが有効です。
ここでは、作業改善の重要性や具体的な考え方、作業改善につながるIDECのおすすめ製品をご紹介します。
作業改善は、現場で行われている作業内容を見直し、効率や生産性の向上、労働環境の改善などを目指す取り組みのことです。
人力で行っていた作業を機械化する、複雑な操作が必要な機械を直感的に使えるツールに変更するといった取り組みが、作業改善の具体例として挙げられます。
それによって、現場で働いている作業者の負荷を軽減できるのが、作業改善に取り組むメリットです。さらに、不要だった作業を省略したり、簡単にしたりすることで、属人化の防止や作業ミスの削減といった効果も期待できます。
作業改善の方法は複数ありますが、製造業をはじめとした現場の作業改善は、ECRS(イクルス)の考え方を元に取り組むのがおすすめです。排除(Eliminate)・結合(Combine)・交換(Rearrange)・簡素化(Simplify)の4つの観点から業務を見直すことで、作業改善を効率的に行えます。
それぞれの考え方の概要は、以下のとおりです。
排除(Eliminate)
作業改善を行ううえで重要なのが、現時点での作業に無駄がないかを検討し、作業内容を鑑みて排除(Eliminate)することです。
無駄な作業をカットするだけなので、基本的にはコストがかかりにくく、すぐに実行できます。
ただし、無計画に排除を行うと、安全性や効率の観点から必要だった作業までなくしてしまう恐れがあります。作業を行う目的は何か、本当に必要な作業なのかといった点を踏まえて、慎重に排除するかどうかを検討・判断することがポイントです。
結合(Combine)
無駄な作業の排除が済んだら、似た作業がないかどうかを調査し、統合できる場合は1つの作業にする結合(Combine)の工程に移ります。
同じような複数の工程を1つにまとめることで、作業効率を改善することが可能です。
作業工程の変更と併せて、人員の配置を見直すのも良いでしょう。作業範囲や担当者の配置方法はどうすれば効率的に業務が進むかを検討することで、作業効率の改善につながる可能性があります。
交換(Rearrange)
無駄な作業を排除し、似た作業をまとめた後に取り組みたいのが交換(Rearrange)です。作業ごとに優先順位を設定し、入れ替えることで効率的になるものがあれば交換・再構築を行います。
この時、複数の作業の順番だけでなく、特定の作業の手順や方法そのものも検討しましょう。例としては、人の手で行っていた業務を自動化・デジタル化することなどが挙げられます。
簡素化(Simplify)
複雑な作業がある場合は、簡単な内容にできないか調整することも作業改善の一環です。システムやツールを導入して作業を自動化するだけでなく、ツールを操作しやすいものに変更したり、作業そのものをパターン化したりして、簡素化(Simplify)に努める必要があります。
業務内容が簡単になれば、作業の精度や時間が作業者の熟練度に左右されにくくなります。結果として、特定の人材がいないと作業が滞ってしまう属人化を防ぐことが可能です。
作業改善を達成するには、基本的な考え方を踏まえたうえで、目標を明確にしたり、改善する作業に優先順位をつけたりすることが大切です。
作業改善に取り組む際は、次の3つのポイントを意識する必要があります。
明確な目標を立てる
作業改善を実施する際は、何を改善すれば良いのか、改善することでどのような効果を得たいのかなど、明確な目標を事前に定めておきましょう。
目標を持たずに作業改善に取り組むと方向性が定まらず、期待した効果が得られない可能性があります。
目標を定める時は「作業時間を○分短縮する」「必要なコストを○%カットする」など、結果を数字で把握できる目標にすることがポイントです。
抽象的な目標だと、達成できたとしても本質的には作業改善につながらなくなる恐れがあります。
効果が期待できる作業の改善から取り組む
全ての工程で作業改善が必要だとしても、ツールの導入や作業方法の変更を一度に済ませることは、時間・金銭的コストの観点から困難です。
作業改善は長期的に取り組むべき課題と考え、高い効果が期待できる業務から優先して着手すると良いでしょう。
具体的には、作業改善による費用対効果が高く見込める、現状の作業時間が長い、作業の発生頻度が高い、関連する作業者が多いものなどから改善を進めることをおすすめします。
作業者の負担が増えないようにする
作業改善に取り組んだからといって、全ての取り組みが成功するわけではありません。
例えば、作業改善のために最新のツールを導入した結果、作業者が使いこなせずにかえって作業時間が伸びたり、属人化が進んだりすることも考えられます。
作業改善に取り組む際は、作業者の負担が増えないようにすることも重要です。ボタンが少なく操作が簡単なツールを導入する、導入前に関係する作業者にトレーニングを行う、わかりやすいマニュアルを作成しておくなど、実際に現場で働く人材への配慮を欠かさずに行いましょう。
作業改善を進めるうえで、重要な課題のひとつが「重量物の運搬作業」です。製造業や運送業など、各種現場では重量物を運搬するシーンが多く見られますが、この作業は作業者の体力や経験によって効率が大きく左右されます。
体にかかる負担も大きく、労働環境の悪化や生産性の低下につながる可能性があるなど、改善する必要性が高い作業です。
そのような課題を解決する手段として、IDECでは使用している台車に後付けするだけで、重量物の運搬時に台車を押すための力をサポートする「ez-Wheel® アシストホイールドライブ」を取り扱っています。
重量物運搬にかかる作業を改善することで、作業効率の向上や作業者の負担軽減など、総合的な生産性の向上が期待できます。
また、ソフトウェアによって現場に最適な速度や方向の制御などを設定できるため、ダウンタイムを最小限に抑えられるのも特徴です。
製品の詳細については、以下のページも併せてご確認ください。
ポンプやファンなど、ライフラインに欠かせない製品を開発・製造するテラル株式会社様のポンプは、ほとんどが金属部品で構成されています。50kg近くある部品を1つの台車で8個運ぶうえに、運搬用の台車も金属製で重たいものです。従来は、一時停止や旋回などが求められることも多く、作業者にとって負担が大きい運用となっていました。
アシストホイールドライブの導入後は、それらの作業の負担が軽減。作業者の負担軽減だけでなく、作業効率や安全性の向上にも寄与しています。
導入前の課題や導入後の効果については、以下のページで詳しくご紹介しているので、併せてご確認ください。
人手不足による作業効率の低下が進む現場にとって、作業改善は欠かせない取り組みのひとつです。人手不足の解消や生産性の向上を目指すには、現状の無駄な作業や高負荷な作業を見直し、改善していく必要があります。
とはいえ、やみくもに全ての作業を改善するのは時間的・金銭的に効率的とはいえません。発生頻度の高い作業や、費用対効果が高く見込める部分から改善に取り組むのがおすすめです。
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